反　り　腰

　反り腰とは、腰部における背骨（腰椎）の生理的なカーブが増強している状態です。

　筋肉のバランスとしては、

• 腹筋群、殿筋群の弱化
• 骨盤底筋の弱化
• ももの前側の筋肉の過緊張
• 腰部の筋肉の過緊張

が考えられます。

　この筋バランスの不均衡により骨盤が前側に傾斜する方向に引っ張られてしまい、連結している腰椎の湾曲が増強（反り腰）してしまうのです。

　反り腰の特徴としては、骨盤の前方傾斜に伴い股関節にも異常をきたすことです。症状として痛みなどはないかもしれませんが、多くの場合は股関節が内側に捻じれるような状態で固定されているため、ももの前側（ポケットのあたり）が常に張ってしまいます。

　産後にケアができなかった方はお腹の力が抜けてしまう、長時間立っているお仕事の方は重心が前に移動しすぎてしまい、このような状態になりやすいです。

　では、反り腰でなぜぽっこりお腹になってしまうのか解説していきます。

　特に痩せ型の女性に多いのですが、全体的には細いのに下腹部だけがぽっこりしてしまっていることはないでしょうか？

　これは体を支えている「インナーユニット」が緩んでいる証拠です。インナーユニットはいわゆる体幹とも呼ばれる部分で、

• 腹横筋
• 多裂筋
• 横隔膜
• 骨盤底筋

からなります。

　このインナーユニットは体の安定性を生み出していると共に、内臓を内側に留めておく働きもあるのです。すなわち、インナーユニットが緩んでいる状態では、内臓が外側に溢れるようになってしまうため、お腹がぽっこりしてきてしまうのです。

　特に反り腰の場合は、腹横筋や骨盤底筋の機能が著しく低下しているためより強くなってしまうのです。

　反り腰では、腰部の緊張が強いため背骨の後方が圧迫されるような状態となり腰痛を引き起こしてしまいます。

年齢を重ねると発症しやすい

• 腰部脊柱管狭窄症
• 椎間板変性症
• 腰痛すべり症
• 椎間症

などはこの姿勢が基盤となっているのです。

　それだけではなく、腰が反りインナーユニットの機能が低下しており、体幹が安定しなければ

• 四十肩・五十肩
• 変形性股関節症
• 変形性膝関節症
• 腱鞘炎・ばね指
• 外反母趾

などの四肢の疾患にもつながるのです。

そのため、外見状の問題として腰が反っているだけでなく、さまざまな疾患へとつながる火種になっている状態なのです。

　施術により骨盤の位置を戻すだけでなく、筋肉の機能性を高めて整えることが、将来的に起こりえるさまざまな疾患を予防することにつながるのです。