ストレートネック

　ストレートネックとは、首（頸椎）本来の自然なカーブが失われ真っ直ぐになってしまっている状態です。特にデスクワークなどのじっとしている姿勢が多い職業の方によくみられます。近年ではデスクワークではなくても、長時間のスマホ操作や普段の運動習慣がないことからストレートネックの方が増えています。

　背骨には上から順番に頸椎・胸椎・腰椎・仙椎（尾椎）という順番で生理的な湾曲（S字のカーブ）を持つ構造になっています。そして、頸椎と腰椎に関しては前弯という前側にしなるような形状です。
　生まれたての赤ちゃんは背骨が全体的にC字上のカーブになっており、ハイハイをする頃になると四つん這いの状態から頭を持ち上げます。ここで初めて頸椎の前弯を獲得するのです。そして、立ち上がる頃になると腰椎の前弯を獲得し、大人に近い骨格になってきます。

　ストレートネックの方は全体のバランスが崩れており、頸椎の湾曲がなくなってしまうのと同時に胸椎の後弯（後ろ側へのカーブ）は強くなっています。そして、肩甲骨は前側に移動している状態をしばしば見かけます。つまり、ストレートネックは、頚椎だけの問題ではなくさまざまな問題が絡み合っているのです。

　ストレートネックは首のカーブがなくなっており、頭部が前方に移動している状態のため、筋肉のバランスもおかしくなっています。

• 胸鎖乳突筋、斜角筋の過緊張
• 後頭下筋群の過緊張
• 椎前筋群の弱化
• 頭・頚板状筋の弱化

が主に見られる筋バランスです。

　これは、デスクワークで悪い姿勢のまま画面を注視するような状況で起こりますが、長時間のスマホ操作が癖になっている方に見受けられます。

　これらの筋バランスを改善するのに、過緊張を起こしている筋肉を緩めてもその場限りの効果しかありません。根本的に改善していくには、弱化している筋肉をしっかり機能回復させることが重要なのです。

　ストレートネックは首の生理的なカーブが失われている状態のため、頚椎に対しても非常にストレスがかかります。

　特に、後頭部と上から１、２番目の骨で作られる関節は特殊な構造をしており、７つある頚椎の首を回す、頷くといった動作の半分の可動域を担っています。ストレートネックの場合は、この関節の可動性が低下することで、その他の頚椎における可動域が過剰になってしまい骨や筋肉に負担がかかる状態になってしまうのです。

そのため、

• 頚椎症
• 頚椎椎間板ヘルニア
• 胸郭出口症候群
• 頚椎症性神経根症

などの問題に発展していくのです。

　さらに、猫背や巻き肩といった問題を併発している場合も多いため、首以外の問題にも移行してしまうのです。このような問題に発展する前にストレートネックを改善し予防をしてくことが重要と言えます。